こんにちは。たいようです!
新年度が始まりましたね。この時期は、一年間の仕事を進めていく上で指針となる土台作りのフェーズ。しっかりと準備したいですよね。
前回はPDCAサイクルを回す「カイゼン思考」について紹介しました。
今回は問題解決に使えるもう一つの思考方法である「デザイン思考」について取り上げます。
🔷この記事はこんな方におすすめ
授業デザインに興味のある学校の先生
「デザイン思考」に興味のある方
🔷本記事の信頼性
たいよう @shiningtaiyou
https://twitter.com/shiningtaiyou
Master of English Language Teaching(英語教育修士)
「理論と実践のベストマッチ」を追求する高校英語教師17年目。
4つの思考サイクル
我々は普段、自分の思考方法を明確に意識して生活しているわけではありません。
しかし、思考の枠組みを意識して行動することで、得られる結果は大きく変わる可能性があります。
『直観と論理をつなぐ思考法』では、4つの思考サイクルを示しています。
この4つの思考サイクルを「教員の仕事」という文脈で考えると、こういう図になるのではないかと思いました。
目の前の生徒を相手にする我々教員は、常に何かしらのissue(問題)を解決することが求められます。
そこでissue drivenという軸にある「カイゼン思考」と「デザイン思考」にフォーカスして、教員の仕事でこの思考をどのように活用していくべきかを考えたいと思います。
今回は「デザイン思考を使った授業デザイン」を考えていきます。
デザイン思考の3つの本質
『直観と論理をつなぐ思考法』の著者である佐宗氏は、デザイン思考の本質を3つ挙げています。
プロトタイピング:手を動かして考える
両脳思考:五感を活用して統合する
人間中心共創:生活者の課題をみんなで解決する
子供が遊んでいる場面を想像してみてください。
深く考えて立ち止まるのではなく、失敗を考えることもなく、とにかく手を動かしますよね。
彼らは不完全でもプロトタイプ(試作品)をアウトプットし、自分なりの完成品に近づけていくのです。
この「子供のように手を動かす」のがデザイン思考の大前提です。
アウトプットを修正するプロセスの中で、論理的(左脳的)な分析だけでなく、直観的(右脳的)な発想も必要になります。
佐宗氏は言います。
直感と論理とのあいだを自在に行き来する「往復運動」こそがデザイン思考の本質と言えるだろう。
『直感と論理をつなぐ思考法』
つまり複眼的なアプローチが大切であるということ。自分一人での内省には限りがあるので、多様な意見を参考にするという素直さも大切な要素になってきます。
デザイン思考で授業をデザインしよう
① プロトタイピング
下の図は、「構築主義の学習モデル」。デザイン思考のプロセスを簡略化したものです。
まずは「①問いかけ」フェーズ。
「〇〇の学習をすることで、生徒に〇〇の力を身につけさせる」という、生徒の実態に応じた具体的な目標を設定することからスタートします。
自分自身に問いかけましょう。
それから「②つくる」フェーズに進むわけですが、英語教育という文脈で考えると、4技能 (Reading, Listening, Writing, Speaking)+文法(Grammar)をバランスよく取り入れることが理想です。
自分の経験や直観を大切にしつつも、第二言語習得(Second Language Acquisition) やTESOL、あるいはInstructional Designなどの理論を参照してみましょう。
(具体的な方法については、別記事で紹介します。)
1コマの授業で全ての技能にフォーカスすることが無理な場合は、2コマ単位で一つの授業パッケージを完結するというスケジュールにするとよいでしょう。
- 生徒の実態に応じた現実的な目標を設定しよう
- 最初のプロトタイプは綿密に行おう
- 経験側と理論のベストマッチを探ろう
②フィードバック・ループを回す
プロトタイプが完成したら、アウトプットします。つまり授業を行います。
状況に応じて修正を加えていくわけですが、第三者からのフィードバックが必要になります。これが「③対話する」フェーズです。
方法は2つあります。
①生徒からの授業アンケートを定期的に行うこと。できれば単元ごとに行うとよいです。
②自分の授業を動画で撮影すること。
ただし動画に映ることを嫌がる生徒もいますので、事前に了承を得る必要があります。
可能であれば、同じ教科の先生同士で授業参観しあう風土を作りたいところです。
それが無理でも授業に関するディスカッションはできるはずなので、そういう人間関係作りも大切になってきます。
このようにフィードバック・ループを回しながら、自分の授業を進化させていきましょう。
- 単元ごとに授業アンケートを実施しよう
- 自分の授業を動画にとってみよう
③生徒の視点で振り返る
最後に「④振り返る」フェーズですが、次の2つの観点から授業を振り返りましょう。
- 自分自身のパフォーマンスはどうだったのか?
- 生徒にとって満足できる授業だったのか?
③の対話フェーズでもらったフィードバックをもとに、自分自身のパフォーマンスを客観的に振り返ります。
その際に、「生徒側の視点」と「自分自身の視点」双方から振り返りをしましょう。
自分のパフォーマンスを分析するのとは違い、生徒の視点で振り返るには適切な想像力が必要になります。
「自分が生徒として授業に参加していたら?」という視点で、謙虚に、そして批判的に振り返りましょう。
その振り返りをもとにまた新たなプロトタイプを作っていく。授業デザインとは、この繰り返しなのです。
自分の授業を生徒の視点で批判的に分析しよう
まとめ
プロトタイプ(試作品)に修正を加えていくという「デザイン思考」、いかがでしたか?
すでにこういうプロセスを踏んで授業をデザインしているという先生方も多いかと思います。
それを言語化しただけかもしれませんが、新しい発見があったとしたら幸いです。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。